おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

待合室や診察室を分けて対応しています

 

耳の下やあごが腫れて痛がるので、パパママが気づきやすい病気です。

熱は出ないこともあり、比較的軽い感染症ではありますが、髄膜炎を合併することが多く、また難聴を合併すると回復が望めないことから、予防接種を推奨しています(任意)。

登園登校する前に医師に治癒証明をもらう必要があります。

 

原因:ムンプスウイルス

症状:唾液腺が腫れて痛い、飲食で痛みが増す、熱が出ない子もいる

 

①耳下腺 最も腫れやすい場所です。耳のすぐ下あたりが腫れて顎の骨が見えない感じになります。
②顎下腺
③舌下腺
どれも唾液腺です。

 

潜伏期間(感染してから発症するまでの期間):2~3週間

 

クリニックでおたふくと診断された子の保護者様から提供された発症ゼロ日の写真です。

耳下腺と顎下腺が腫れているのがわかります。

 

特効薬はありません。

痛みが強い時は小児科で処方される解熱鎮痛薬を適宜使うことができます。

噛むと痛むので食べ物はやわらかいものを、また酸味のあるものは唾液腺を刺激して痛むので、例えば柑橘系の飲み物はさけるなどしましょう。

発症2病日の写真です。多くの場合ピークはこの時期です。

顎のラインがさらに分かりにくくなるくらい腫れているのが分かります。

 

通常5日前後~長いと10日ほど腫れが続きます。

学校保健法で「学校において予防すべき感染症」として出席停止疾患に定められています(欠席扱いになりません)。

発症ゼロ日~5日を経過するまで自宅で療養したのち、医師の診察を受けて登園登校許可証をもらいましょう(5日を経ていれば腫れが残っていても診せてください)。

髄膜炎や難聴になることがあります

おたふくで心配なのは、

  • 10%で髄膜炎
  • 思春期以降…男性>20~30%で睾丸炎、女性>卵巣炎が7%
  • 1,000人に1人が難治性難聴

を合併することです。

2017年秋の調査で、おたふく合併の難聴を診断されたケースが2年間で300名以上いることが分かっています。

痛い時期、ごはんを食べにくい時期を過ぎると、元気でお休みが退屈な子がほとんどですが、おたふくと診断されたあとで、

  • 高熱
  • 強い頭痛
  • 繰り返す嘔吐 など

が見られたら、治癒証明のための診察日を待たずにご相談ください。

髄膜炎の中では経過がよいとはいえ、髄膜炎による高熱・頭痛・嘔吐に顔をゆがめて受診する子どもを何度も診ています。

治癒困難な難聴になったケースも知っています。

「かかって抗体をつけたほうがいい」は何十年も前に言われていたことです。

 

おたふくかぜワクチンは公費ではありませんが、

1回目は1歳になったら早めに、2回目は年長さんの頃に接種することをお勧めしています。

何度も腫れるときは反復性耳下腺炎かも

「前にもおたふくと言われたことがあるけどまた腫れた」

前回か今回かどちらかがおたふくではなかった、あるいはどちらもおたふくではなかった可能性があります。

「1~2日で腫れが引いてしまった」

それもおたふくではなかったと言えます。

唾液腺が腫れて「おたふくかぜを疑う症状」があればおたふくと診断してお休みをする必要があります。

 

何度も腫れる子がいます。

すぐに腫れがひいてしまうのであれば、まずは予防接種をお勧めします。

あるいは、腫れがおさまって1か月を経た頃に血液検査でおたふくの抗体があるかどうかを調べてみることをお勧めします。